
企業理念を文化にすること
先週は経営者研修の工場見学がありましたので、参加してきました。
テーマは「カリスマであった創業者から次世代経営者が引き継いでの企業経営」についてでした。
秘密保持があるので会社名などは書けませんが、創業者の仕事の流儀や想いを次世代に伝えて行くことが、世代交代をした経営者である我々の努めであると、改めて感じました。
次世代とは、親子間での経営のバトンタッチが多いと思いますが、ゼロイチから30年、40年以上経営して、数十人、数百人の社員を養い続けてきた企業の創業者は、どこもカリスマ社長が大半だと思います。 美談として良い面ばかり受け継がれている所もあるかと思いますが、どの創業者も休み無く働いたや、会社の危機では皆の先頭に立って指揮して来られた人たちです。 そんな経営者についてきた社員たちも、昭和〜平成と、まだまだハードワークが当たり前だった時代であり、一緒になって夜遅くまで働き、仕事が終わったら皆を引き連れて夜な夜な飲みに行ってコミュニケーションを図っていました。 私も社会人となって25年経つので、その当時はよく叱られました! (今だに叱られますが・・) そんな働き方はその時代の文化であり、現代の効率や働き方を求める文化は、それはそれで良いことだと思いますが、その部分は置いといて、創業者の仕事の流儀や想い、理想や考え方は、後世も理解して実践していかなければなりません。 それが、社是であり企業理念であります。
話を戻しますが、今回の会社見学で社長さんの講演を聞かせて貰いましたが、
一番私の心に刺さった話は、「 指示 < 制度 << 文化 」です。
何これと?と思うかもしれませんが、企業理念を文化に変えて行くことが、2代目、3代目の経営者の役目となります。
創業者は誰しも認めるカリスマ性があるので、仕事のやり方も仕事の考え方も「指示」をすれば皆がその通りに実行してくれます。
2代目は、創業者と一緒に仕事をしている姿を社員たちも見ているのである程度「指示」しても、皆はその通りにしますが、創業者を知る社員が入れ替わり新しい社員が増えると、理念を説いてもなかなか理解されないため、仕事をルール化したり理念を守ることを「制度化」していきます。 制度化とは、理念を文章で見える化したり、毎朝唱和したり、社長がスローガンを作ったり、社内報や冊子を作って皆に周知したりと、今の当社のやり方に近いかと思います。 制度化して、皆に浸透させることでさえ、なかなか上手くはいきませんが、その先の「文化」にするとはどういことなのでしょうか?
「文化」とは、自然と広がって行き、尚且つより良い形に変わって行くことだと思います。
例えば、日本に住む大人も子供も、財布を道で拾ったら、大抵は近くの交番へ届けに行きます。
私も海外へ住んでいましたので分かりますが、落とした物がまた見つかるのは日本以外ないと思います。
海外では落とし物をしたら先ず見つからないと諦めます。
この財布を拾ったら交番へ届けることは、特に誰からの「指示」でもありませんし、報奨金欲しさに持って行く「制度」でもありません。単に困っている人がいるから助けるのが当たり前、子供の頃に親や学校の先生から教えられたからと答える人たちが多いと思います。 それが「日本の文化」であり、制度化しなくても、自然と次世代の子供達が当たり前のように行なっていきます。
要するに、企業理念を文化へと変えて行くとは、社員同士で理念を学び合い、その理念を基に新しい価値を増やして行くということでしょうか。 そう簡単には「文化」にはなかなかなりませんが、そこを目指すことが出来れば、自然と会社は成長していくものだと思いますし、その社長さんの講演でも、とにかく伝え続けることが大切であると述べていました。


