
無駄をなくすことは「価値に集中すること」「問いを立てるということ」
「コスト削減」と聞くと、削る、我慢する、耐えるといったネガティブなイメージを思い浮かべる人は少なくありません。しかし、本当に目指すべき無駄削減は、苦しくなるものでも現場を疲弊させるものでもなく、価値に集中するための前向きな行動です。
現場でよく見られるのが、「とにかくコストを下げよう」という発想です。確かに短期的には数字が良く見えることもありますが、必要なものまで無理に削ってしまえば、品質は下がり、現場の負担は増え、次の成果が生まれなくなります。その結果、将来になってから、もっと大きなコストを支払うことになりかねません。コスト削減はあくまで手段であり、目的ではないという視点を忘れてはいけないのです。
無駄をなくす本当の目的は明確です。本当に必要なこと、成果につながること、人が時間と知恵を使うべきことに集中するために、無駄をなくします。「何を削るか」を考えるのではなく、「何に集中すべきか」を考える。この視点を取り違えると、無駄削減は必ず失敗します。
そもそも無駄は、派手なところに存在するとは限りません。多くの場合、昔から続いている慣習や、なんとなく続けている作業、目的が曖昧な行動といった“当たり前”の中に潜んでいます。だからこそ必要なのは、「これは今も価値を生んでいるのか」という問いです。金額の大小ではなく、その行動が価値を生んでいるかどうかで判断することが、無駄をなくすための基本姿勢になります。
この考え方を営業に置き換えると、その場しのぎの値引きや、属人的な目的のない営業、再現性のない提案や対応は、一時的な売上を生むことはあっても、持続的な価値にはなりにくいものです。一方で、再現性のある提案や、仕組みとして回る営業プロセス、継続して売上が積み上がる構造は、会社にとっての「価値」そのものと言えます。無駄をなくすとは、こうした持続可能な売上を生む仕組みに集中することでもあると思います。
無駄を減らすことで生まれるのは、単なるコスト削減だけではありません。考える時間が生まれ、改善する余力が生まれ、挑戦できる余白が生まれます。この余白こそが、次の価値を生み出す源泉になります。無駄削減とは締め付けではなく、未来への投資。
最後にいちばん伝えたいことは、今、自分たちが取っている行動が、ニッセイエコにとって本当に「価値」を生んでいるのかという問いを持てているかどうかです。この問いを持ち続けられるかどうかが、無駄をなくせるか、価値を生み続けられるかの分かれ道になります。コストを見る前に、まず価値を見る。無駄をなくすとは、価値に集中するための環境を整えることを忘れないようにしたい。


